優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
 美澄と詩歌が病室に残り、小竹と恭輔は事務所へ戻って行く。

「詩歌さん、俺が付き添ってますから、少し寝てください」
「ううん、平気です。美澄さんこそ、少し休んでください」

 あの救出劇から丸一日程経っている事もあって、流石に詩歌も疲れが溜まっているのか顔色があまり良くない。

 それでも、郁斗の傍についていると言って聞かず、一人にして倒れても大変だからと、詩歌の様子を見守る為に美澄も共に付き添っていた。

(……郁斗さん……早く、目を覚まして……大丈夫だよって、笑いかけて……)

 命に別状は無いと医師から言われているものの、目を覚ますまでは安心出来ない詩歌は郁斗の手を握り締めたまま、ずっと祈り続けていた。

 けれど、急激な眠気に襲われてしまった詩歌はとうとう眠ってしまう。

「やれやれ、ようやく眠ったか。さてと、俺も少し休憩してくるかな……」

 それに気付いた美澄が起こさないよう詩歌をもう一つのベッドに寝かせると、自身も休憩する為一旦部屋を出て行った。
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