優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
詩歌のその言葉に、郁斗は、
「――駄目」
そう一言告げる。
「え……」
その返答に詩歌は言葉を失った。
彼女は自惚れていたところがあった。
郁斗ならば、マンションで住む事を了承してくれるだろうと。
想いを伝え合い、恋仲になったはずだったけれど、それは自分の都合の良い解釈で、実は郁斗にそんな気は無かったのかもと思い、詩歌の表情はみるみる曇っていく。
そんな詩歌に郁斗は、
「詩歌ちゃん、話は最後まで聞いてよ。駄目って言ったのは、あのマンションで暮らす事。俺は初めから詩歌ちゃんと暮らす気でいたよ? だから、実はもう、二人で住む新居を決めてあるんだ」
「い、いつの間に……」
思いがけない郁斗の言葉に、曇りかけていた表情がパッと晴れる。
そして郁斗はズボンのポケットから鍵を取り出すと、
「――改めて、俺と一緒に、新居で暮らしてくれますか?」
そう詩歌に問い掛けながら、鍵を差し出した。
(何だか、プロポーズみたい……)
そう思いながら詩歌は差し出された鍵を受け取り、
「はい、私で良ければ、喜んで」
笑顔でそう返事を返した。
それから数日後、郁斗と詩歌は新居となるマンションへ移り住んだ。
新居は以前郁斗が住んでいたマンションよりも更に高層階のマンションで、彼らの部屋は最上階。
引越しを手伝った美澄や小竹は部屋から一望出来る景色や周りのどのマンションやビルよりも高層階に居る事に心底驚いていた。
「――駄目」
そう一言告げる。
「え……」
その返答に詩歌は言葉を失った。
彼女は自惚れていたところがあった。
郁斗ならば、マンションで住む事を了承してくれるだろうと。
想いを伝え合い、恋仲になったはずだったけれど、それは自分の都合の良い解釈で、実は郁斗にそんな気は無かったのかもと思い、詩歌の表情はみるみる曇っていく。
そんな詩歌に郁斗は、
「詩歌ちゃん、話は最後まで聞いてよ。駄目って言ったのは、あのマンションで暮らす事。俺は初めから詩歌ちゃんと暮らす気でいたよ? だから、実はもう、二人で住む新居を決めてあるんだ」
「い、いつの間に……」
思いがけない郁斗の言葉に、曇りかけていた表情がパッと晴れる。
そして郁斗はズボンのポケットから鍵を取り出すと、
「――改めて、俺と一緒に、新居で暮らしてくれますか?」
そう詩歌に問い掛けながら、鍵を差し出した。
(何だか、プロポーズみたい……)
そう思いながら詩歌は差し出された鍵を受け取り、
「はい、私で良ければ、喜んで」
笑顔でそう返事を返した。
それから数日後、郁斗と詩歌は新居となるマンションへ移り住んだ。
新居は以前郁斗が住んでいたマンションよりも更に高層階のマンションで、彼らの部屋は最上階。
引越しを手伝った美澄や小竹は部屋から一望出来る景色や周りのどのマンションやビルよりも高層階に居る事に心底驚いていた。