優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
 新居で過ごす、初めての夜。

「今日は美澄が色々とごめんね。アイツ、悪い奴じゃないけど空気読めないんだよね」
「いえ、そんな事ないです。美澄さんも小竹さんも片付けとか手伝ってくれて助かりましたし」

 旧居よりも広くなった寝室のベッドに並んで座った二人は、今日あった出来事を振り返りながら眠くなるまで話をする。

「そう言えば、詩歌ちゃんはこれからどうするか決めた? やりたい事が色々あるって言ってたよね?」
「そうですね……社会勉強の為に働きに出たいとも考えたんですけど、もし可能であれば、またPURE PLACEで働く事は出来ますか?」
「PURE PLACEで? 詩歌ちゃん、それ、本気で言ってる?」
「はい、本気ですけど……いけませんか?」

 郁斗のその言葉に、きょとんとした表情を浮かべた詩歌は聞き返す。

「そりゃそうでしょ? だってPURE PLACEはキャバクラだよ? 俺、自分の女をキャバクラで働かせる趣味は無いんだけど?」

 郁斗から出た『自分の女』というフレーズにドキッとした詩歌は少し頬を赤らめた。
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