優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
「……そ、その……郁斗さんが嫌だという気持ちは、嬉しいです。確かに逆の立場だったら、嫌かも……軽率な発言でした」
「でしょ? だったら……」
「……だけど、私、少しだけだったけど初めて働いたのがPURE PLACEだったし、楽しめるようになっていたし、もう少しだけ、働いてみたいった思ったんです! 無理はしません。危険だと思ったら、すぐに助けを呼びます。それでも……駄目、でしょうか?」
「…………はあ、そんな風にお願いされたら、断れないよね。分かったよ、太陽に伝えとく」
「本当ですか!? ありがとうございます、郁斗さん」

 郁斗が折れる形で再びPURE PLACEで働ける事になった詩歌は嬉しくなって、思わず郁斗の胸に飛び込んだ。

「……詩歌ちゃんさ、こういうの、誰にでもしちゃ駄目だよ?」
「し、しませんよ! 知らない人に抱きついたりしません」
「どうかな? なんて言うか、無防備なとこ多いよね、詩歌ちゃんは」
「え? そ、そうでしょうか?」
「そうだよ。今日だって美澄との距離、ちょっと近過ぎだったよね?」
「そ、そんな事ないですよ?」
「いや、夕飯の後片付けの時とか、妙に近かった」
「す、すみません……」
「だからこそ、キャバクラで働くとか心配なんだよね」
「以後、気を付けます……」
「……やっぱり、マーキングしといた方がいいかな?」
「え?」
「俺さ、最近気付いたんだけど、結構嫉妬深いタイプみたいなんだよね――」

 そう口にした郁斗は詩歌の身体を優しくベッドの上に倒して、彼女の上に跨った。
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