優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
「郁斗さん……っ、私の頭の中にある嫌な記憶を全て、消して下さい……私は、郁斗さんだけを、感じていたいんです……!」

 詩歌は郁斗ならば大丈夫だと思えたようで、彼に全てを委ねる決意を固め、求めるように手を伸ばした。

 それが、合図だった。

 もう一度キスを落とした郁斗はそのまま唇から首筋、鎖骨と口付けていく。

 そして、前開きでワンピースタイプのパジャマを着ていた詩歌はあっという間にボタンを外されて素肌と下着が見えてしまう。

「……っ」

 まじまじと見つめられ、恥ずかしくなってしまった詩歌が隠そうとするも、

「ダーメ、もっとよく見せてよ」

 腕を掴まれ、意地の悪い笑みを浮かべた郁斗に動きを封じられてしまう。

「……は、恥ずかしいから、見ないで……」

 動けない彼女が恥ずかしがりながら訴えかけるも、

「それは出来ないよ。俺に全てを委ねてくれるって言ったでしょ? 大丈夫、すぐ慣れるよ――」
「――ッん!」

 郁斗は聞く耳を持たず、これ以上喋る事が出来ないよう、今度は少し荒々しく唇を塞いだ。
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