優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
エピローグ
 季節は巡り、郁斗と詩歌が新居で生活するようになって、半年という時間が過ぎた。

 PURE PLACEで働き始めた詩歌はつい最近店ではナンバー2になり、ナンバー1の樹奈と共に店を盛り上げていた。

 店としても市来組としても売り上げが伸びる事は喜ばしいものなのだけど、その事に浮かない顔をした人物が二人程いた。

 一人は言わなくても察しがつくであろう詩歌の事が大好きな郁斗と、もう一人は市来組若頭で普段は何事もにも動じないと言われている恭輔だった。

 何故恭輔が浮かない顔をするのか、それは――樹奈が恭輔の愛する人だからだ。

 迅の件で恭輔に助けられた樹奈は、身を呈して助けてくれた彼に惚れ、いつしか二人は周りに内緒で付き合い始めていた。

 これまで浮いた話の無かった恭輔の交際話は知られたその日から、郁斗たちは勿論、各方面からの反応もなかなかのものだった。

 そんな事もあって、樹奈は詩歌にとって良き相談相手でもあり、姉のように慕う存在となり、今では仕事でもプライベートでも仲が良く暇さえあれば常に一緒に居るので、郁斗や恭輔は少しだけ複雑な感情を抱いていたりする。

 けれどつい先日樹奈が妊娠している事が分かり、それを機にPURE PLACEを辞める事になってしまったのもあり、詩歌は少しだけ落ち込んでいた。
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