優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
「詩歌ちゃんの誕生日まで待とうかなって思ったんだけど、もう待てない。一日でも早く、言いたかったんだ」
「……っ、」
「詩歌ちゃん?」
「嬉しい……です……私、嬉しい……っ」
「良かった、断られたらどうしよかと思った」

 瞳から大粒の涙を零している詩歌を抱き締めながら、少しおどけて見せる郁斗。

「断るなんて、有り得ません……っ郁斗さんこそ、本当に、私で良いんですか?」

 詩歌の問いに郁斗は彼女の瞳から溢れる涙を掬って、

「愚問だね、詩歌ちゃん以外なんて、考えられないよ」

 笑顔を向けると、郁斗につられ、詩歌も笑顔になった。

 星が光り輝く夜空の下、郁斗が詩歌の左薬指に指輪を嵌め、

「もう一度言うね。俺に、付いてきてくれますか?」
「はい! ずっと、ずっと付いていきます! どこまでも」

 お互いの気持ちを確かめ合った二人はどちらからともなく唇を重ねて愛を感じながら、これからの幸せを思い描いていった。


 二人は思う。

 あの日、あの場所で出逢えて、本当に良かったと。

 そしてその後、樹奈に続くように詩歌もとある理由からPURE PLACEを辞める事になるのだけど、

 それはまた、別のお話――。



 ― END ―
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