優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
「それでは栄養が偏りますし、身体にも良くありませんよ?」
「んー、でも俺はそういうの拘らない主義だし、それに食事もしたりしなかったりなんてよくある事だし、気にしないかな」
「それは、お仕事柄……ですか?」
「まあ、そうだねぇ」
「……あの、あまり知られたく無い事だというのは理解しているんですけど……出来れば、どんなお仕事をされているのか、教えて欲しいです」

 昼間、出掛ける前にそれとなく聞いた時にはぐらかされたのを思い出すと、あまり触れられたくない事だというのは重々承知している詩歌だが、食事もまともにとれないくらい忙しい仕事をしているのなら自分も何か力になれないかと考え、どうしても知りたいと思ってしまう。

「うーん、まあ……仕事の内容としては、お金を貸してる人からの集金をして回ったり、経営に携わってる店の見回りをしたり……他にも色々やってるよ?」
「お金を貸したり、集金……? お店の、見回り……?」

 しかし、郁斗の説明からは仕事内容が想像出来ず、詩歌の頭は混乱する。

 そんな彼女を前にしても相変わらずマイペースを貫く郁斗はある事を思い出した。
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