優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
「……え? 詩歌ちゃん、キャバクラだよ? そりゃ風俗と違って比較的安全ではあるけど……正直キミには向いてないと思うよ?」
「でも、やってみないと分かりません! 私、一生懸命やりますから、どうかお願いします。自分でお金を稼ぎたいんです。いくら郁斗さんがここに居て良いと言って下さっても、ずっとお世話になる訳にはいきませんから」

 確かに、詩歌の言う事は最もだ。家族でも恋人でも無い二人がいつまでも一緒に住む訳にはいかないのだから。

 詩歌の覚悟を聞いた郁斗は、『PURE PLACE』で太陽が言っていた人手不足の事を思い出す。

(そう言えば太陽の奴、リミの代わりを探してるって言ってたよな。彼女ならリミに負けず劣らずの美人だから戦力になりそうだけど……でもなぁ……)

 詩歌の容姿は、店で働くのに何ら問題は無い。ただ不安があるとすれば、酒を飲み客の相手をする事だ。

 詩歌は明らかに男慣れしていない事は一目瞭然なので、きちんと相手が出来るかという事や、タチの悪い客に絡まれた時に対処出来るか、郁斗はそれが気掛かりだった。
< 30 / 192 >

この作品をシェア

pagetop