優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
「ここが衣装部屋兼控え室。ヘアメイクもここでやるから」
「あの、ヘアメイクって自分でやるんでしょうか? 恥ずかしながら私、メイクなんてほとんどした事がないもので……」
「ああ、君くらい美人だと必要ないかもしれないね。大丈夫、ヘアメイクは専門のスタッフがいるから」
「そうなんですね、それなら安心しました」
「衣装はどうしようか。好きな色とかある?」
「えっと……淡い色が好きです」
「淡い色ね……まあそしたら無難に薄いピンク色のドレスが良いかな? まあ清楚っぽく白も良いよね。スカート丈はやっぱり長めの方がいいかな?」
「は、はい。あまり、脚を出すのはちょっと……」
「そう。それじゃあ初めはなるべく露出は少なめの方が良いかもね」

 太陽は沢山あるドレスの中からいくつか手に取ると、詩歌の身体に合わせていく。

「これなんか良いんじゃないかな?」

 そう言って詩歌に意見を求めたのは、長袖や胸元の部分がレースになっていて少しだけ肌の露出が控えめなロング丈で淡いピンク色のタイトドレス。

 ウエスト部分のリボンが体型をカバーし、小さめの胸も少しだけ強調された形になりそうだ。

「はい、これなら何とか……」
「そう? なら良かった。後は靴だけど……普段ヒールの高いものを履いたりする?」
「いえ……」
「そっか……それじゃあそこまで高くなくて、歩きやすい方がいいよね……これがいいかな?」

 太陽はドレスと同じ色の靴を持って来て詩歌の意見を求める。

 提案して来たのはストラップパンプスでシンプルなレースなのでドレスとの相性も良さそうだし、ヒールも七~八センチとまあまあの高さだ。

「ではそれでお願いします」
「了解。それじゃあ後は他のキャストたちが来るまでマニュアル確認とかしようね。こっちに来て」
「はい」

 ドレスが決まった詩歌は再び事務所へ戻ると、太陽と共にマニュアル確認や礼儀作法、昨夜郁斗に教わったような事までみっちり叩き込まれる事になった。
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