優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
 一方郁斗はというと、

『郁斗さん、すいませんでした!!』

 昨日詩歌と出逢ったビルが建ち並ぶ裏通りで、金髪で刈り上げマッシュスタイルの筋肉質で小柄な男と、黒髪で肩までの長さがあり、前髪が長く目にかかっていていまいち表情が読み取りにくい中肉中背の男二人と合流するや否や、男たちは額を地面に付け、郁斗に向かってひたすら土下座をしていた。

 この男たちが昨日、郁斗に電話をしていた美澄と話に出てきた小竹なのだろう。

 結局探していた井筒が見つからなかった事を詫びているようだ。

「美澄、小竹、テメェらはただ謝れば済むと思ってんじゃねぇだろうなぁ?」
「とんでもないです!」
「本当に、申し訳なかったと思ってます!」

 二人は誠心誠意謝るも、郁斗は依然として怒りを向けたまま謝る彼らを見下ろし続けている。

 そんな状態が五分程続いた後、

「……まあ、今回は許してやる。その変わり、今日失敗したら……その時は覚えておけよ?」

 怒りの表情から一変、笑顔を浮かべながら二人を許したのだ。

『あ、ありがとうございます!!』

 それには二人も安心はしたものの、顔を上げて郁斗の笑顔を見た瞬間、背筋が凍っていくのをひしひしと感じていた。

 そして、もし今日失敗したら、自分たちの命はないと悟る。
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