優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
「キミ、名前は? あ、ちなみに俺は夜永 郁斗」
彼――郁斗の自宅へ向かう事になり、近くのコインパーキングに停めてあるという車まで向かう道すがら、二人は互いの名前を教え合う。
「私は……花房 詩歌です」
詩歌はまだ郁斗の事をいまいち信用出来ていないようで終始おどおどしているも、郁斗の方はそんな事を気にする様子もなく飄々としている。
「詩歌ちゃんね。それじゃあ乗って」
「はい、失礼します」
駐車場に着き、一台の高級外車の前で立ち止まった郁斗は鍵を開けると詩歌に中へ入るよう促した。
郁斗はボサボサな髪に少し年季の入った革ジャンやジーンズを身に纏っているせいか、高そうな車を乗れる程金回りが良さそうな感じには見えず、寧ろお金に余裕が無さそうな雰囲気が漂っているのだけど高級外車が愛車となると、彼は結構良いところの生まれなのかもしれない。
精算機で駐車料金を払い終えた郁斗は車に乗り込み、未だ緊張している詩歌を尻目に車を駐車場から出すと大通りへ向かって車を走らせていく。
「詩歌ちゃん、もっと楽にしてた方がいいと思うよ? そんなに気張ってると疲れると思うけど」
「……す、すみません……」
「いや、別に謝らなくてもいいよ。そうだ、どこか寄りたいところとかある?」
「いえ、大丈夫です」
「そお? それじゃあ、何か聞きたい事とかある? 少しでも俺を知れた方が安心出来るでしょ?」
「……すみません……疑っている訳ではないんですけど……その、なんて言うか……」
「良いって。寧ろそういう反応が普通でしょ? 知らない男相手に警戒もしない方がどうかと思うしさ」
詩歌は親切にしてもらっているのに疑うような素振りを見せていた事を反省して謝るも、郁斗が全く気にしていないと知ると安堵し少しだけ胸の痞が取れた気がする。
彼――郁斗の自宅へ向かう事になり、近くのコインパーキングに停めてあるという車まで向かう道すがら、二人は互いの名前を教え合う。
「私は……花房 詩歌です」
詩歌はまだ郁斗の事をいまいち信用出来ていないようで終始おどおどしているも、郁斗の方はそんな事を気にする様子もなく飄々としている。
「詩歌ちゃんね。それじゃあ乗って」
「はい、失礼します」
駐車場に着き、一台の高級外車の前で立ち止まった郁斗は鍵を開けると詩歌に中へ入るよう促した。
郁斗はボサボサな髪に少し年季の入った革ジャンやジーンズを身に纏っているせいか、高そうな車を乗れる程金回りが良さそうな感じには見えず、寧ろお金に余裕が無さそうな雰囲気が漂っているのだけど高級外車が愛車となると、彼は結構良いところの生まれなのかもしれない。
精算機で駐車料金を払い終えた郁斗は車に乗り込み、未だ緊張している詩歌を尻目に車を駐車場から出すと大通りへ向かって車を走らせていく。
「詩歌ちゃん、もっと楽にしてた方がいいと思うよ? そんなに気張ってると疲れると思うけど」
「……す、すみません……」
「いや、別に謝らなくてもいいよ。そうだ、どこか寄りたいところとかある?」
「いえ、大丈夫です」
「そお? それじゃあ、何か聞きたい事とかある? 少しでも俺を知れた方が安心出来るでしょ?」
「……すみません……疑っている訳ではないんですけど……その、なんて言うか……」
「良いって。寧ろそういう反応が普通でしょ? 知らない男相手に警戒もしない方がどうかと思うしさ」
詩歌は親切にしてもらっているのに疑うような素振りを見せていた事を反省して謝るも、郁斗が全く気にしていないと知ると安堵し少しだけ胸の痞が取れた気がする。