優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
「お疲れ様です、郁斗さん」
「お疲れ」

 詩歌の写真画像が送られて来てから数十分、『PURE PLACE』に辿り着いた郁斗は太陽と挨拶を交わすと、控え室の中へ入って行く。

「あ、郁斗さん!」

 すると、郁斗の姿を目にした詩歌は満面の笑みを浮かべて嬉しそうに彼の元へ駆け寄った。

「あの……どうでしょうか? こういう格好は初めてなので何だか変な感じがしてしまって……」

 自身の格好にあまり自信が持てない詩歌は遠慮がちに郁斗に意見を求める。

「うん、良いと思うよ。詩歌ちゃんの良さが出てる。それに、詩歌ちゃんは元が良いから心配はしてなかったけど、想像以上だよ。自信持って?」

 彼女の不安な気持ちが伝わったから励まそうとしたのか、それとも本心からなのか分からないけれど、詩歌をベタ褒めする郁斗の事を珍しいものでも見るかのような視線で太陽は黙ってその場を見守っていた。

「宣伝素材は後日にしようかと思ったんですけど、芳樹(よしき)さんが丁度来てくれてカメラも積んでたので、ついでに撮ってもらいました」
「そっか。まあこの分だとすぐに客も付くだろうから、早い方がいいよ」
「そうですね」
「あれ~? 郁斗さん、今日も来てる! え? 何々? 今日こそは樹奈(じゅな)の事指名?」

 太陽と郁斗が話をしていると、入口からそんな声が聞こえてくる。

「樹奈、早いね」
「うん、今日は近くで用事あったから、そのまま来ちゃった。けどラッキーだなぁ~! 郁斗さんに会えるんだもん」

 樹奈と呼ばれた女性は金髪巻き髪に胸元が大きく開いたトップスにミニスカートと膝が隠れるくらいのロングブーツを履いた比較的露出の多い派手な格好をしていて、メイクも濃くてどちらかと言うとギャルに近い感じだ。
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