優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
「太陽、詩歌はどうした?」
「あ、希咲が詩歌ちゃんをヘルプに付かせて欲しいと言ってきたので今さっき行きました」
「そうか、希咲か。希咲の客は?」
副島(そえじま)様とそのお連れ様は新規の方ですね」
「副島? ああ、副島重機の社長か?」
「いえ、今日は息子の方ですね」
「息子か。新規ってのはどんな奴だ?」
「まあ、見た感じ副島様同様三十代前半くらいで、目付きが悪く無愛想な感じですが、まあ今のところ問題ないかと」
「……そうか。まあいい、暫く様子見だ」
「はい」

 その頃、希咲の居る席へ案内された詩歌は、緊張で心臓がバクバクと音を立てているのを感じながらも、何とか笑顔を浮かべ、

「初めまして、白雪と申します。よろしくお願いします」

 姿勢を正し丁寧に頭を下げた詩歌の立ち振る舞いに、副島たちは勿論、周りの客たちの視線は彼女へ釘付けになる。

 しかし、それと同時に他のキャストたちの反応はあまり良くは無く、彼女に指名を取られないよう、詩歌から目を逸らせる事に必死になっていた。

 そんな状況を面白がっていたのは他でもない希咲で、彼女は周りのキャストたちが詩歌に恨みがましい視線を向ける中、一人だけ口角を上げて不敵な笑みを浮かべていた。
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