優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
「郁斗さん……ありがとうございます」

 郁斗の言葉で少しだけ不安が和らいだ詩歌は顔を上げて少しだけ笑顔を向けた。

 しかし、郁斗は自分が守るとは言ったものの、いつでも傍に居られるかというと、それには少しばかり無理がある。

「詩歌ちゃん。明日の夜、俺の部下を二人連れて行くよ。前々から紹介しようと思ってたんだ」
「部下の方を?」
「うん。基本俺が守る事には変わりないけど、仕事柄いつでも傍に付いていられる訳じゃないからね。それでも、詩歌ちゃん一人にはしないし、常に様子が分かる方が俺としても安心だからボディーガードとして俺の部下を付けようと思う。勿論、俺が傍に居られる時は俺がその役をやるから心配しないでね」
「そんな、部下の方に申し訳ないですよ……」
「大丈夫。アイツら何をやらせてもヘマが多いけど、詩歌ちゃんを守るっていう任務ならまともにこなせると思うし、総合的には信用出来るし腕も確かだから安心してね」
「…………すみません、ありがとうございます」

 郁斗に負担をかけるだけじゃなくて、その部下にまで負担をかける事になるのを申し訳なく思った詩歌が断ろうとするも聞き入れて貰えず、明日の夜、店で紹介される事になってしまった。

 そして翌日の夜、約束通り店に美澄と小竹を連れてやって来た郁斗は早速詩歌に二人を紹介する。
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