優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
 そんな彼女に気付いた郁斗たちは、

「やってくれるよね、美澄、小竹」
「も、勿論っすよ。郁斗さんに期待されてるって分かればやるしかないし! な? 小竹」
「ああ、勿論。任せてください、郁斗さん」

 少しでも詩歌を安心させようと明るく振る舞い話を進めていく。

「詩歌ちゃん、二人ともやってくれるって。これでひとまず心配いらないよ」
「……すみません、ご迷惑をおかけして。美澄さん、小竹さん、これからよろしくお願いします」
「いやいや、当然ですから!」
「そうですよ、俺ら相手にそんなに畏まらなくて大丈夫です」
「そうだ! とりあえず、俺、何か飲みたいっす! 詩歌さん、お願いできますか?」
「あ、はい! 勿論です。何になさいますか?」

 女慣れしていない二人は詩歌の反応に戸惑いながらも、これから関わり合いになるので少しでも距離を縮めていこうと歩み寄る。

「詩歌ちゃん、お酒作るの俺も手伝うよ」
「いえ、ここでは郁斗さんもお客様ですから……」
「いいって。今日は客として来てるってよりも、話がメインだからね。気にしないで」
「……それじゃあ、お願いします」

 こうして、話し合いに支障の無い程度にお酒を飲みつつ今後の段取りを相談し合った美澄と小竹は時折詩歌の接客を受けつつ、久しぶりの酒の席を楽しんだ。
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