優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
「それで、俺が彼女の髪を切ればいいの?」
「うん。ガラリと雰囲気を変えて欲しいんだ」
「まあ、短くすりゃイメージは変わると思うけど……アンタは何か希望とかあんの?」

 郁斗に詩歌の髪を切るよう頼まれた志木は、何か希望は無いかと本人に問い掛けるも、

「えっと……私、髪型って基本変えた事がないので、出来ればお任せしたいです……」

 特に希望が無いらしい詩歌は志木に任せたいと言う。

「あっそ。それじゃあまあ、俺が適当に考えて切るわ」
「よろしくお願いします」
「ん。じゃ早速始めるか。付いてきな」
「は、はい」

 15坪程の広さのフロア内は簡易キッチンやトイレ、シャワールームの他に部屋が二つに仕切られている。

 一部屋はソファーの置いてあるリビング兼応接室、もう一部屋は大きな鏡の前に椅子があり、その少し横にはシャンプー台が設置されている。

 志木は今現在無職ではあるものの、頼まれればカットやパーマ、カラーリングなどを行う事もある。

 ここは言わば、志木の住宅兼個人美容室と言ったところなのだ。

 詩歌を志木に任せた郁斗はスマホを取り出すと、情報屋から新たな情報収集を行う為メッセージアプリを起動する。
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