ミステリアスな王太子は 花嫁候補の剣士令嬢を甘く攻め落とす【コルティア国物語Vol.1】
三十分後。

襲撃に向かわせた三人が戻って来たのを見て、国境の敵軍の見張りは慌てて駆け寄る。

「どうだった?上手くいったのか?」
「それがまんまと嵌められた。ガセネタだったんだ。コルティアの陸軍はイズールではなく北のガルパンで応援部隊と落ち合い、夜明けと共に奇襲をかけてくる」
「なに?!本当か?それは」
「ああ。ガセネタを吹き込んだ張本人を絞め上げて吐かせた。急ぎガルパンに向かえ!あそこには将軍が待機しておられる。お守りするのだ!」
「分かった!」

見張りは急いで馬に跨ると、一目散に去っていく。

「ほい、ご苦労さん。なかなかの名演技だったぞ」

三人の背後から弓を構えたオーウェンが現れる。

「そんじゃ、仲良くお座りくだされ」

おとなしく地面に座り込む三人の手足は、互いに縄で結ばれていた。
これでは逃げようにも逃げられない。

オーウェンは更に三人を木に縛りつけると、じゃあな!と言い残して馬に跨り、一気に走り出した。
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