ミステリアスな王太子は 花嫁候補の剣士令嬢を甘く攻め落とす【コルティア国物語Vol.1】
「大丈夫か?」
「ええ」
背を向けたまま声をかけられ、クリスティーナは相手を見上げる。
(誰かしら。あ!近衛隊の制服!)
マントを着ているが、その下のロイヤルブルーの軍服には見覚えがあった。
(この身長と黒髪は…。フィルね?!)
顔は見えずとも後ろ姿だけで分かる。
クリスティーナに代わって敵と剣を交えているフィルの背中をまじまじと見つめていると、更に誰かが窓から飛び込んできた。
「もう、また窓から…。今度は敵なの?それとも味方?」
うんざりしながら、クリスティーナは剣を構える。
一気に襲いかかられ、ああ、敵なのねと独りごちて相手とやり合っていると、更にもう二人敵が現れた。
「一体何人いるのよ?!」
王太子をかばいながら短剣で戦うのには無理がある。
押され気味になったクリスティーナがグッと奥歯を噛みしめた時、壁際に辿り着いたフィルが掛けてあった剣を取り上げた。
「自分の身は自分で守れ!王太子」
そう言いながら、フィルは剣を鞘ごと王太子に投げる。
「ちょっ、フィ…、あなた!王太子様になんて口をきくのよ?!」
思わず名前を口走りそうになりながら、クリスティーナはフィルを咎めた。
「やれやれ。俺は読書が趣味のインドア派なんだよ」
王太子はため息をつきながら剣を引き抜く。
「仕方ない。久しぶりに一戦交えますか」
そして三人それぞれ、敵を相手に剣でやり合う。
最初に仕掛けたのはフィルだった。
相手の剣を弾き飛ばすと、受け取れ!と自分の剣をクリスティーナに投げてから、床に刺さった敵の剣を引き抜く。
クリスティーナはフィルの剣を右手でキャッチし、すぐさま敵の剣を受け止めると、懐に飛び込んで相手のみぞおちを短剣の柄で打った。
ウグッと敵が床に倒れると、フィルが驚いたようにクリスティーナを見た。
「君、一体…」
「敵はまだいるわ。油断は禁物ですわよ」
「え?」
思わず手を止めたフィルに代わって、クリスティーナは振り下ろされた敵の剣を受け止める。
手首を返して敵の剣先を下に向けると、すかさずフィルが下から剣をすくい上げて弾き飛ばした。
「おお、ナイスコンビネーション」
王太子が感心したように呟く。
「殿下、伏せてくださいませ!」
最後にクリスティーナが思い切り剣を横に払い、王太子と相見えていた敵の剣を弾き落とした。
「これで全員ね。ちょっと失礼」
そう言ってクリスティーナはフィルの腰に手を回し、ベルトに繋いであったロープを取ると、床に転がった男達を次々と後ろ手に縛り上げた。
「ええ」
背を向けたまま声をかけられ、クリスティーナは相手を見上げる。
(誰かしら。あ!近衛隊の制服!)
マントを着ているが、その下のロイヤルブルーの軍服には見覚えがあった。
(この身長と黒髪は…。フィルね?!)
顔は見えずとも後ろ姿だけで分かる。
クリスティーナに代わって敵と剣を交えているフィルの背中をまじまじと見つめていると、更に誰かが窓から飛び込んできた。
「もう、また窓から…。今度は敵なの?それとも味方?」
うんざりしながら、クリスティーナは剣を構える。
一気に襲いかかられ、ああ、敵なのねと独りごちて相手とやり合っていると、更にもう二人敵が現れた。
「一体何人いるのよ?!」
王太子をかばいながら短剣で戦うのには無理がある。
押され気味になったクリスティーナがグッと奥歯を噛みしめた時、壁際に辿り着いたフィルが掛けてあった剣を取り上げた。
「自分の身は自分で守れ!王太子」
そう言いながら、フィルは剣を鞘ごと王太子に投げる。
「ちょっ、フィ…、あなた!王太子様になんて口をきくのよ?!」
思わず名前を口走りそうになりながら、クリスティーナはフィルを咎めた。
「やれやれ。俺は読書が趣味のインドア派なんだよ」
王太子はため息をつきながら剣を引き抜く。
「仕方ない。久しぶりに一戦交えますか」
そして三人それぞれ、敵を相手に剣でやり合う。
最初に仕掛けたのはフィルだった。
相手の剣を弾き飛ばすと、受け取れ!と自分の剣をクリスティーナに投げてから、床に刺さった敵の剣を引き抜く。
クリスティーナはフィルの剣を右手でキャッチし、すぐさま敵の剣を受け止めると、懐に飛び込んで相手のみぞおちを短剣の柄で打った。
ウグッと敵が床に倒れると、フィルが驚いたようにクリスティーナを見た。
「君、一体…」
「敵はまだいるわ。油断は禁物ですわよ」
「え?」
思わず手を止めたフィルに代わって、クリスティーナは振り下ろされた敵の剣を受け止める。
手首を返して敵の剣先を下に向けると、すかさずフィルが下から剣をすくい上げて弾き飛ばした。
「おお、ナイスコンビネーション」
王太子が感心したように呟く。
「殿下、伏せてくださいませ!」
最後にクリスティーナが思い切り剣を横に払い、王太子と相見えていた敵の剣を弾き落とした。
「これで全員ね。ちょっと失礼」
そう言ってクリスティーナはフィルの腰に手を回し、ベルトに繋いであったロープを取ると、床に転がった男達を次々と後ろ手に縛り上げた。