ミステリアスな王太子は 花嫁候補の剣士令嬢を甘く攻め落とす【コルティア国物語Vol.1】
「こんなところにいたのか。風邪を引くよ」
「フィル…」
ディナーの後、バルコニーから外の景色を眺めていたクリスティーナにフィルが近づく。
着ていたジャケットを脱ぐと、そっとクリスティーナに羽織らせた。
「ありがとう。暖かい…」
頬をうずめるクリスティーナに優しく微笑むと、フィルは隣に並んで手すりに両手を置く。
「ねえ、クリスティーナ」
「はい」
「やっぱり帰りたい?家族のもとに」
「え?」
思いがけない言葉に、クリスティーナはフィルの横顔を見上げる。
「君は王太子の護衛の為にこの王宮に呼ばれた。その役目が終われば帰るつもりだったんだろう?」
「それは、そうですけど」
「昨日リリアンと久しぶりに会って、君は凄く嬉しそうだった。君だけじゃない、リリアンもね。本当は毎日仲良く一緒に過ごしたいんだろう?」
「それも、まあ、そうですけど」
「君達の笑顔を見て、俺はちょっと自信がなくなったんだ。君のそばで必ず君を幸せにするという自信がね。君はどうしたい?」
「そんな…」
言葉を詰まらせたクリスティーナの瞳が、見る見るうちに潤んでいく。
急にポロポロと大粒の涙をこぼし始めたクリスティーナに、フィルは驚いて焦り出した。
「ど、どうしたの?クリスティーナ。どうして急に…」
「フィルこそ、どうして急にそんなことを言うの?」
「え?」
「フィルは私がここにいる意味がないと思うの?私を家族のもとに帰したいの?」
「そんなことはない!だけど、君が帰りたいなら俺は引き留められない。君の幸せを心から願っているから」
「私の幸せ?」
「ああ、そうだ。家族と暮らすことが君の幸せなら、俺は…」
「私はフィルのそばにいたいの!」
「クリスティーナ…」
フィルの胸元をギュッと握りしめ、目に涙を溜めながらクリスティーナは必死で訴える。
「どうして?私が危険な目に遭うと、いつも守ってくれたじゃない。どこにいても駆けつけてくれたじゃない。なのにどうして今は、私を遠ざけようとするの?いつもは自信満々で強気なのに、どうして今はそんなに弱気なの?不安にさせないで。いつもみたいに明るく笑って?幸せにするって、強引に私を奪って!」
その刹那、フィルはクリスティーナを強く抱きしめると奪うようにキスをした。
何度も何度も、気持ちをぶつけるように口づける。
「クリスティーナ…。もう知らないからな。俺をこんなに本気にさせたんだ。逃げられると思うなよ?」
そう言ってクリスティーナを胸にかき抱く。
クリスティーナはフィルの腕の中で小さく頷いた。
(私はフィルが好きなのだわ。いつの間にか、こんなにも…)
フィルが離れて行くかもしれないと思った瞬間、ようやく自分の本当の気持ちに気づいた。
「クリスティーナ。剣が上手くてかっこよくて、俺が命を預けられる最高の相棒。可愛くて綺麗で、俺の心を掴んで離さない最高の女性。そして人の心に寄り添う優しい心の持ち主。君は最高の未来の王妃だよ」
フィルはそっとクリスティーナの頬に手を触れて涙を拭う。
「俺と結婚してくれ。クリスティーナ」
「はい」
潤んだ瞳でフィルを見つめ、クリスティーナはしっかりと頷いた。
フィルは頬を緩めると、優しく甘くクリスティーナにキスをする。
月明かりの中、二人はいつまでも抱きしめ合っていた。
「フィル…」
ディナーの後、バルコニーから外の景色を眺めていたクリスティーナにフィルが近づく。
着ていたジャケットを脱ぐと、そっとクリスティーナに羽織らせた。
「ありがとう。暖かい…」
頬をうずめるクリスティーナに優しく微笑むと、フィルは隣に並んで手すりに両手を置く。
「ねえ、クリスティーナ」
「はい」
「やっぱり帰りたい?家族のもとに」
「え?」
思いがけない言葉に、クリスティーナはフィルの横顔を見上げる。
「君は王太子の護衛の為にこの王宮に呼ばれた。その役目が終われば帰るつもりだったんだろう?」
「それは、そうですけど」
「昨日リリアンと久しぶりに会って、君は凄く嬉しそうだった。君だけじゃない、リリアンもね。本当は毎日仲良く一緒に過ごしたいんだろう?」
「それも、まあ、そうですけど」
「君達の笑顔を見て、俺はちょっと自信がなくなったんだ。君のそばで必ず君を幸せにするという自信がね。君はどうしたい?」
「そんな…」
言葉を詰まらせたクリスティーナの瞳が、見る見るうちに潤んでいく。
急にポロポロと大粒の涙をこぼし始めたクリスティーナに、フィルは驚いて焦り出した。
「ど、どうしたの?クリスティーナ。どうして急に…」
「フィルこそ、どうして急にそんなことを言うの?」
「え?」
「フィルは私がここにいる意味がないと思うの?私を家族のもとに帰したいの?」
「そんなことはない!だけど、君が帰りたいなら俺は引き留められない。君の幸せを心から願っているから」
「私の幸せ?」
「ああ、そうだ。家族と暮らすことが君の幸せなら、俺は…」
「私はフィルのそばにいたいの!」
「クリスティーナ…」
フィルの胸元をギュッと握りしめ、目に涙を溜めながらクリスティーナは必死で訴える。
「どうして?私が危険な目に遭うと、いつも守ってくれたじゃない。どこにいても駆けつけてくれたじゃない。なのにどうして今は、私を遠ざけようとするの?いつもは自信満々で強気なのに、どうして今はそんなに弱気なの?不安にさせないで。いつもみたいに明るく笑って?幸せにするって、強引に私を奪って!」
その刹那、フィルはクリスティーナを強く抱きしめると奪うようにキスをした。
何度も何度も、気持ちをぶつけるように口づける。
「クリスティーナ…。もう知らないからな。俺をこんなに本気にさせたんだ。逃げられると思うなよ?」
そう言ってクリスティーナを胸にかき抱く。
クリスティーナはフィルの腕の中で小さく頷いた。
(私はフィルが好きなのだわ。いつの間にか、こんなにも…)
フィルが離れて行くかもしれないと思った瞬間、ようやく自分の本当の気持ちに気づいた。
「クリスティーナ。剣が上手くてかっこよくて、俺が命を預けられる最高の相棒。可愛くて綺麗で、俺の心を掴んで離さない最高の女性。そして人の心に寄り添う優しい心の持ち主。君は最高の未来の王妃だよ」
フィルはそっとクリスティーナの頬に手を触れて涙を拭う。
「俺と結婚してくれ。クリスティーナ」
「はい」
潤んだ瞳でフィルを見つめ、クリスティーナはしっかりと頷いた。
フィルは頬を緩めると、優しく甘くクリスティーナにキスをする。
月明かりの中、二人はいつまでも抱きしめ合っていた。