私と先輩の甘い放課後
紅茶を飲みながら少し先輩と雑談して、また資料の作成に取り掛かった。
私はこの時間が一番好きだ。
夏樹先輩とふたり。生徒会室で過ごせる時間。
二年生と三年生というだけで教室の階も校舎も違う。それに先輩は人気者だから、たまに先輩の教室を覗いてみてもいつもクラスメイトに囲まれていて、話しかける隙なんて全くない。
だから私にとって、生徒会室で過ごすこの放課後のこの時間が、とても特別で幸せなのだ。
パソコンの画面からちらりと夏樹先輩を窺うと、先輩はなにか真剣に資料を読み込んでいるようだった。その真剣な表情もとても素敵でかっこいい…。
私が惚れ惚れしていると、ふと資料から視線を上げた夏樹先輩と目が合ってしまった。目が合う、たったそれだけのことで私の心臓は大きく跳ねる。
うう、好き…!
先輩に笑いかけられただけで、私の心臓は走った後みたいにドキドキする。
「春原さん、終わった?」
「あ!はい!今プリントします!」
ただ先輩に見惚れていただけなのだけれど、資料の確認をしてほしいのかな?と先輩は勘違いしたようだった。
私は慌てて資料を印刷して、先輩に提出する。
「確認お願いします!」
先輩はにこやかに受け取ると、資料に目を落とす。
私は先輩の横に立ちながら、その様子をじっと見つめる。
最初のうちは誤字脱字とか大丈夫かな?資料見にくくないかな?と作成した資料に不備がないか心配していたのだけれど、段々とその意識が先輩に向いて、資料をめくる指が綺麗だなとか、なんだか先輩からいい匂いがするな、とか、私の意識はあっという間に先輩でいっぱいになってしまった。
そんなことを考えているうちに、「うん、よくできてる」と先輩は私に穏やかな笑顔を向ける。
「あ、ありがとうございます!」
「頑張った子には、ご褒美をあげなくちゃね」