私と先輩の甘い放課後

 先輩の口角がくいっと上がったと思ったら、気付けば私は先輩の腕の中にいた。先輩の大きな腕の中で私は慌てて顔を上げる。


「な、夏樹先輩っ!?」

「心陽もこうしてほしかったんでしょ?」


 優しく頭を撫でられたかと思ったら、唇にキスを落とされた。全身が沸騰しそうなくらいに熱くなる。


 そう、私と夏樹先輩は付き合っている。みんなにはもちろん内緒だ。


 だからこの放課後の、この生徒会室だけが、私達にとって特別な時間なのだ。


 最初はついばむようだったキスが、より深く甘くなっていく。


 段々と息苦しくなってきて、私は先輩の胸を力なく叩いた。


「せ、せんぱ、いっ…」


 ようやく離された唇から、吐息が漏れる。


 自分はどんな顔をしているだろうか。きっとりんごみたいに真っ赤になっているに違いない。先輩に見られるの、恥ずかしい…。


 私が慌てて俯こうとすると、それを許さないとでも言うかのように、顎を掴まれくいっと上を向かせられた。


「可愛い顔見せて」


 夏樹先輩はそう言うと、また優しいキスを落とす。

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