踏み込んだなら、最後。




「しろ、ちゃ…っ、んん…ッ!ふ……、ぁ…っ」



最初は押さえ込むために握られていただけの手も、気づいたときには指をひとつひとつ絡ませて繋がれていた。


ここまできて「風邪がうつっちゃうよ」なんて心配したなら、それこそ笑ってしまう。


さめないで。

お願い、ずっとずっとこの夢にいたい。



「…お互い最悪な趣味」



最後そう言って、私の首筋に強く吸い付いてきた。

噛みつくみたいに痛みが伴うものをされた1回と、それすら可愛がるように舌で緩和してくれた1回。


そして再び目を覚ましたとき、そこには見慣れた制服姿の男の子が座っていた。



「────……せんごく…、くん」


「…具合、どうですか?すごい高熱が出たって聞いて…」


「……すこし、ラクになったよ」


「…よかった…」



下の階からは軽い足音や笑い声が聞こえてくる。

こうして千石くんが施設のなかにまで上がってきたのは初めて。


寝たままはどうかと思って身体を起こそうとすると、咄嗟に支えようとしてくれた千石くんは。



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