踏み込んだなら、最後。
一知半解
「ねえーーー!洗面台まだーー!?」
「ご、ごめん…!あと10分だけ待って…!」
「その10分後が今なんですけどーー!わたし歯を磨きたいのっ」
「あああっ!マスカラついちゃった…!またやり直しだぁ……」
貯めていたお小遣いとお年玉を崩して買ったメイク用品。
慣れないメイクはぶつけ本番でやるものじゃないと、痛感。
「………かわいーよ?」
「…なっちゃん、完全に自分のためにウソ言ったよね…?」
「だぁーってえ!」
うん、わかってるよ。
なっちゃんは何も悪くないし、みんなで分け合って交代して使う。
ひまわり園での約束事を破ってまで洗面台を占領してしまっていた私に100%の非があります確実に。
ごめんね本当に。
「ねえ、おかしくない…?大丈夫…?」
「そんな気になるならすっぴんで行けばいいだろ」
「うわー、佳祐にーちゃんそれぜったいダメ。モテない男が言うセリフ~」
「なっ、うるせーな…」