踏み込んだなら、最後。
女子中学生に言われたからか、わりと食らった佳祐お兄ちゃん。
この服どう?
やっぱりこっちがいいかな?
と、私のひとりファッションショーに付き合ってくれる家族たち。
「それでいいんじゃない?いつもの地味~な感じとは違うギャップあるし、たぶん千石さんもドキッとするよ」
「…地味…、いつもそんなふうに思われてたんだ……」
「あっ、いやそういうわけでもなくて!ユキ姉はよく見るとパーツいいし、あとはそれを活かせばいいだけ」
「ほ、ほんとう…?」
「うん。初デート頑張ってね~。って、やば!もうこんな時間!」
なんだろう…、
みんなの言葉が適当な気休めに聞こえてならない…。
それほど今日という日は初めての彼氏を持った女子高生にとって大切な日だというのに。
今日は土曜日。
待ち合わせ時間まで残り30分。
よかったら水族館に一緒に行かないかと、最初に誘ったのは私だった。