踏み込んだなら、最後。




「これだと値段的にもお得だし、いっぱい入ってますよ」


「うん、そうだね。これにしようかな」


「あ、このキーホルダー可愛いから子供たちに買っていってあげれば。…そこまで高くもないので」


「わあ、光るクラゲだって。みんな光るもの好きだからいいかも」



どれが本当の千石くんなのか、わからない。

やっぱり優しくて、思いやりがあって、一緒にお土産ショップを回った時間は楽しいものだった。



「じゃあ買ってくるから、このあたりで待っててもらってもいいかな…?」


「いや、俺も一緒に行きます。俺もそのお土産、半分お金出してもいいですか…?」


「えっ、でも…」


「俺からみんなへのお土産でもあるっていうか…」


「…ありがとう千石くん」



ごめんね。

さっきまで思ってたことぜんぶ、訂正する。


自分の彼氏を疑うなんかぜったいしちゃいけないし、私は千石くんのこういうところが良いなって思ったんだ。



< 118 / 280 >

この作品をシェア

pagetop