踏み込んだなら、最後。




「それ、そのままやってたらたぶん火事になんね」


「───ひゃあ…っ!!えっ、あっ、わーー!焦げてる……!」



フライパンの上に乗せていたおにぎり、見事に焦げが目立つ。

いやっ、真っ黒ではないから我慢すれば食べられる……かな。


すぐに火を止めて換気扇を強に変えた私に、ニッと笑った男の子は「ただいま」と言ってくる。



「お、おかえり…、シロちゃん遅いよ……、いま何時だと思ってるの」


「ちょっと調べ物してたら門限過ぎてた」


「過ぎてたって…、もう22時半近いんだよ…?」



門限とかのレベルじゃない。

子供たちにとっての兄のような職員のひとりである佳祐(けいすけ)お兄ちゃんに連絡入れてるから───って、シロちゃんは言うんだろうけれど。


連絡を入れたらOKというわけでもない。


私たちが妹や弟たちの見本として生活しなくちゃなのに。



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