踏み込んだなら、最後。




「お、真澄」


「紹介したい子ってそいつ?だいぶ今までとタイプちげーじゃん」


「ちょっと~、あたしらを差し置いてどーいうつもりー?」



今さら許されない。

友達ではなく彼を選んだのは私だ。


ぐらぐら揺れてばっかり、気持ちに一貫性がなくて最低なのは私。



『正直、正直だよ?真澄くん…、やめたほうがいいかも』


『この前かなりんと一緒にショッピングしてたとき……、あたしら真澄くんをたまたま見かけてさ』


『なんていうかイメージが少し違ったっていうか…、二重人格なんじゃないかって思うくらい……あたしらが知ってる真澄くんじゃなかったの』



みっちーとかなりんが見た彼は、この人のことを言っていたんじゃないか。


二重人格。
言い当てたような言葉だ。


誰なんだろう。

いま私の前にいる、女の子に囲われるのが当たり前だというように笑っている男の子は。



『でもさ、ほんとぜんぜん違くて、ちょっと怖かったんだよね』



ぜんぜん違くて、怖い───、

そのとおりだった。


千石、くん。



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