踏み込んだなら、最後。
「あの人たちは…、本当に千石くんの友達なの…?」
「友達というか、仲間みたいなもの」
世界が違った。
もし世の中に彼らしかいなくて、仲間になるかどうかは自分で決められるとしたなら。
私は選ばないという選択をする。
「わかりあえると思ったんだ」
「わかり、あえる…?」
「うん、汐華さんは俺たちと同じだと思った。だって……游黒街を知ってたから」
「っ…!!……どうして…、その名前を…」
その名前は口に出すことすらダメなもの。
ただ、知っていたということは。
その街の名前を知っていたということは、この人も常人ではない証拠。
ガタッと椅子から立ち上がった私に、千石くんは読めない表情をしながら近づいてきた。
「俺の名前、毎日呼んでるのに気づかないのもなかなかだよ」
なまえ……?
千石くん、せんごく、せん……、
千───…?
かつて游黒街の場所をなんとか見つけ出すために私は、とあるネットワークサービスを使ったことがあった。