踏み込んだなら、最後。




「あの人たちは…、本当に千石くんの友達なの…?」


「友達というか、仲間みたいなもの」



世界が違った。

もし世の中に彼らしかいなくて、仲間になるかどうかは自分で決められるとしたなら。

私は選ばないという選択をする。



「わかりあえると思ったんだ」


「わかり、あえる…?」


「うん、汐華さんは俺たちと同じだと思った。だって……游黒街を知ってたから」


「っ…!!……どうして…、その名前を…」



その名前は口に出すことすらダメなもの。


ただ、知っていたということは。

その街の名前を知っていたということは、この人も常人ではない証拠。


ガタッと椅子から立ち上がった私に、千石くんは読めない表情をしながら近づいてきた。



「俺の名前、毎日呼んでるのに気づかないのもなかなかだよ」



なまえ……?

千石くん、せんごく、せん……、


千───…?


かつて游黒街の場所をなんとか見つけ出すために私は、とあるネットワークサービスを使ったことがあった。



< 126 / 280 >

この作品をシェア

pagetop