踏み込んだなら、最後。




「も、もしかして…、あのとき住所を教えてくれた“千”さんって……、ひゃ…っ!」



慣れている。

スカートから覗いた太ももに触れてくる手つきも、なにもかもが。

女の子という生き物に、この人はすごく慣れている。



「べつに個人的に近づくこともできたけど、合コンで会ったのはたまたま。すこし興味が湧いたのもたまたま。でもその“たまたま”が、ビンゴだった」


「や、やめて……」



カタカタカタと震え出す全身。

掴まれた顎に悪寒を感じているあいだにはもう、くいっと上げられては奪われた唇。



「んん…!っ…、ゃだ…っ、やめ…ッ」



シロちゃんがいい。

シロちゃん、シロちゃんが、シロちゃんじゃないと。


ぐいっと力づくでも唇を離して、すぐにゴシゴシと拭った。


そんな姿に「ははっ」と笑って、私の逃げ道をなくした先でタンッと壁に手を付いてくる千石くん。



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