踏み込んだなら、最後。




「ごめん」


「きゃ…っ!つめたっ、シロちゃんぜったい反省してない…!」


「んー。本当に悪いとは思ってるんだこれでも」



背後からにゅっと伸びてきた冷たい何かが、私の大動脈が通っている首をいっきに冷やしてくる。

はははっと笑いながら意味もない謝罪を繰り返したシロちゃんが手にした飲み物に、ふと気づく。



「好きでしょ、これ」


「……ありがとう」



もっと普通に渡してくれればいいのに…。

途中の自販機に売っている、私が好きなフルーツティー。


そっと渡すと、今度は私が手にしていたフライパンを覗きこんできた。



「こんな時間におにぎり焼いて、ユキちゃん意味わかんな」


「うっ…、はやく寝すぎて目が覚めたらちょっとお腹空いちゃって…」


「焼おにぎり?」


「…に、するつもりでした」


「焦げおにぎりに改名ね」



こればかりは受け止めます。

シロちゃんが声をかけてくれなかったら、危うく本当に火事になってしまうところだった。



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