踏み込んだなら、最後。
あの女は別の部分に楽しみを見出してしまっているから、繋ぎ止める程度に利用するだけ。
あんな女からの情報をずっと待っていたら、いつまでかかるか分からない。
「そんなに窓の外を見つめて、誰かでも待っているの?」
「……べつに。暇なだけですよ」
「ふふっ、ピリピリしてるわね」
そりゃあするよ。
結局は収穫ナシだったんだから。
あんなにも走って危険な目に遭ったにも関わらず、ろくな情報なんか貰えなかった。
ふて腐れているとでも思ったのか、サラッと髪を撫でてくる年上の同居人。
どこか鬱陶しく感じて、スッと避けた。
「誰かさんがいつまで経っても教えてくれないんでね」
「それはシロウ次第だと言っているでしょう」
「…あなたを抱けばいーの?」
「おあいにくさま、そこまで困ってないわ」
最終的にはそうするしかないと思ってはいるが、そうはさせないのもこの女だった。
「…なんで僕を匿ってくれたんですか。そーいうの、いちばん嫌いそうなのに」
「……ただの気の迷いよ」