踏み込んだなら、最後。
こうしてみんなにバレないようにそっとキッチンに立っていた私。
小さく騒いだとしても、なんとかみんなを起こさなかったようで一安心。
「ふつーのおにぎりで我慢できなかったとこがユキちゃん」
「…ちょうどご飯が余ってたから、変わったものを作りたくて」
ふ、と、笑ったシロちゃん。
私が手にしてなんとかセーフを貫こうとしている焦げおにぎりに、パクっと噛みついた。
「…お。」
パチッとアイコンタクト。
それからグッジョブと言わんばかりにうなずいてくれる。
「わかる…?」
「うん。味噌」
「そーなの…!醤油とか焼き肉のタレとか考えたけど、やっぱり味噌だよね…!」
「しー。みんな起きちゃうだろ」
「あっ、ごめん…」
ちょっと焦げてるけど───ペロリと唇についた味噌を舐めとって、コテンと私に首を倒してきた。
「うまいよ。いいお嫁さんになれるわー」
「っ、お、大げさだよ…それは」
「じゃあなるなよ」
「え…」
「誰かのお嫁さん」