踏み込んだなら、最後。




「……どう、したの……それ…」



それは夏休みに入って2週目の今日。


彼からの呼び出しは大抵ろくなものじゃないから、私は適当な理由を言ってほとんどスルーしていた。

またあんな場所に連れられるだなんて、ぜったい嫌。



《つぎ会うときは0を抜けてきてください》



そう送ったあと、しばらく返信はなかった。


と思っていた今日、《おれ死ぬかも》というメッセージが来たのだ。


施設近くの公園にいる、と。

話が終わったらすぐに帰っていいと、そこだけは信じて千石くんに会いに行った。



「見てのとおりだよ。ボロ雑巾にされた」


「なにがあったの……?」



見ているだけで痛々しい姿に、私はひまわり園にいったん戻って救急箱を持って来ようか迷った。

いや、それならこのまま千石くんを連れていったほうが早い。


でも本人はベンチに座って、気の抜けたようなため息で終わらそうとしていたから。



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