踏み込んだなら、最後。
みんなこうやって隠す。
私の周りにいる男の子は、いつも核心には触れさせてくれない。
嫌になるよ。
引き合わせてくるんだもん、神様は。
孤独でさみしい人間同士を。
「俺、何回かあの街に行ってるんだ。中学あたりのときから」
あの街。
それは游黒街のことを言っている。
「でも……必ず帰される」
「かえされる…?」
「そう。とあるサングラス女に帰されるんだよ、ここには来るなって。いつも現れてほんとウザい」
たぶん、私も目にしたこと……ある。
いっかい、1度だけ。
思い出すだけで胸が苦しくなって、たったの1回が忘れさせてなんかくれない。
「あっ、千石くん……!ひまわり園にっ、ケガの手当て…!」
「もうしてもらった」
水に濡らした私のハンカチだけを持って、千石くんは公園を出ていってしまった。