踏み込んだなら、最後。
「…どう?」
さっそく小皿を渡して、味見をしてもらう。
「……なんか、あれ。マーガリンも入ってるから雰囲気バターチキンカレーみたいな。めちゃくちゃうまい」
「でしょっ!これ私が思いついたの!」
身を乗り出すほど喜ぶ私にびっくりしたらしく、「うわ、珍しくテンション高」と言ってくる。
「…珍しくって、」
「とくにシロ兄がいなくなってから無理して笑ってた感じするし」
「…………」
「あ、やば。禁句?地雷?」
ううん、そんなことないよ。
ただまったく考えてもいなかったときにわざわざ思い出させられて、考えちゃっただけ。
禁句でも地雷でもないから余計なことばっか覚えなくていーの。
ぐいっと中学生男子の頬っぺたを引っ張って、一応は私なりに軽く叱っておいた。
「よし、みんなぶんオッケーかな?」
「ユキおねーちゃん、もういっこ!」
「え?もう1個…?」
「うんっ!」
全員ぶんのカレーとサラダをよそったはずが、キッチンに立った私を見上げてくるナナミちゃんとリトくん。