踏み込んだなら、最後。
誰かのぶんも忘れちゃってた…?と思いながら、私は言われたとおり用意した。
「これっ、シロおにーちゃんのぶん!」
「…え、」
「よろこんでくれるかなあ?はやく帰ってこないかな~」
テーブルに同じように並べていれば、シロちゃんは帰ってくると思っている。
そうだよね。
シロちゃんっていつもお腹いっぱいだとしても、無理してまでも食べてたような人だった。
弟や妹たちのこと、大切にしていたから。
「……呼んでくる」
「ユキおねーちゃん…?」
「まってて」
呼んでくるから、待ってて。
エプロンを外して、すぐに自室へと向かった。
「……やっと着られる…」
ラッピングされた袋に入ったままの、1着。
宝物のようにしまいこんでいた、それは17歳の誕生日プレゼント。
シロちゃんは私にこれを贈って、代わりに自分が出ていった。