踏み込んだなら、最後。




「わたし、シロちゃんのこと、すき…っ」



すき、すき。

あたまがおかしくなりそうなくらい、好き。


シロちゃんは……?

私だから興奮して、私だから触りたいと思ってくれているのなら、おなじ気持ち…?



「…聞こえなかった。もう1回言いなよ」


「すき…っ」


「だれがって?」


「シロちゃんが……っ、ンンッ!」



強引にも塞がれた唇。


好きを言いたい私と、言わせたくないシロちゃんの攻防戦。


ううん。

もし言わせたくないからキスをしてきたのなら、それ前にわざわざ聞き返してきたのは変だ。


なにより私に言わせてからのキスは1秒前と比べ物にならないほど熱にまみれた。



(おか……され、てる)



おかされてる。

私はいま、きっと、どう見ても、正真正銘、犯されている。


返されなかった「好き」は、エンドレスに繰り返して意識を飛ばすような快楽に変わった。


知らなかったことを知るんだ。


あした目覚めた私は、今日までの私じゃなくなっている。

またひとつ、こうして大人になっていくんだね。



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