踏み込んだなら、最後。
唇を尖らせた私、汐華 由季葉(しおばな ゆきは)、高校2年生。
おなじ歳で家族のように育った…、ううん。
かぞくのシロちゃん───漆原 士郎(うるしはら しろう)くんは、幼い頃はふわふわしている男の子だったけれど、今はもっと掴めない男の子。
「だったら私がシロちゃんの高校に行けばよかったな…」
「却下」
私がこう言うと、必ずバッサリ断られちゃう。
「僕の行動って、わりと意味があるんだよ」
シロちゃんが半分食べてしまった焼おにぎり。
どうせ追求したとしても教えてくれないだろうから、私は八つ当たるようにパクリと口に含んだ。
じつはさっきね、夢を見たの。
初めてシロちゃんと出会った頃の夢だよ。
シロちゃんは覚えてるかな…。
「まあでも……本心は僕もユキちゃんと一緒にいたかったけど」
「っ、」
「ごちそーさま」
食器をシンクに運ぶついで、ぽんっと私のあたまに手を置いてくる。
視線を落としたままの私に何を言ってくるかと思えば。