踏み込んだなら、最後。
叫喚地獄
『僕がこの場所にいる理由はさ、ずっと狙ってる人がいるんだよ』
『気になって気になって仕方がない。どうにかしてでも近づきたくて、…それくらい夢中なんだ』
この街には来るな。
ぜったい、もう2度と、来るな。
そんな目をしておいて。
『狂いたかったら僕のとこに来な。───…“ユキちゃん”』
首のうしろを触ることなく、シロちゃんは言ってきた。
やっていることがちぐはぐで、言っていることもちぐはぐ。
あんなにも優しく触れてもらったことは初めてで、私はその幸せが消えて欲しくなくて泣いた。
「由季葉、これお前のシャーペンだろ」
「……そうだ。ありがとう佳祐お兄ちゃん」
「他に忘れ物は?」
「…ないよ。行ってきます」
あれから、至っていつもどおりな日々。