踏み込んだなら、最後。
「だから別になんもないって言ってるでしょ!!!」
「なんにもないことないだろ。お前はまだ中学生なんだぞ。おいアヤナっ、まだ話は───」
「着替えるからついてくんなっ!!」
ダンダンダンッ、バタンッッ!!
強めに階段を上って、勢いよくドアが閉まった音。
ちょっと家が揺れたよね?ってくらい、それはそれは力強かった。
というよりも、アヤナちゃんが佳祐お兄ちゃんにあそこまで反論していることは初めてだ。
「な、なにかあったの…?」
おそるおそるリビングに顔を出してみる。
困った顔で息を吐きながら、佳祐お兄ちゃんは自分を落ち着けるためかコーヒーを淹れ始めた。
「あいつ最近、塾サボってるらしいんだ。それで今日、学校から連絡がきて」
「学校から連絡…?塾のことで?」
「いや、学校も無断欠席してるって連絡」
「…え」
「あいつ今年受験だぞ。とうとう高校に行かないとか言い出したし」