踏み込んだなら、最後。




「ごめんって…?楽しかったよ…?シロちゃんは楽しくなかった……?」


「……おそかった…」


「え…?」


「っ、遅かったんだよ……っ」



ガクリと膝を落とした彼を、私が支えるのも少しだけ遅かった。


なんのことを言っているの。

話して、お願いだから話してシロちゃん。



「僕がこの街にくる1ヶ月前に、死んでるんだ───…」



だれが、誰が死んでいるの。

みんな生きているよ。


佳祐お兄ちゃんだって絃お姉ちゃんだって、なっちゃんもリトくんもナナミちゃんも。

アヤナちゃんに海未ちゃん、ハルくん。

シュウヤくんリョータくん、シロちゃん、それから千石くん。


みんなみんな、ちゃんと生きているよ。


私も、生きているよ……?



「約束、守れそうにない…、ごめん、守れなかった……っ」



目的なく動く人間はいない。

そういえばシロちゃんも言っていた。


僕の行動って、わりと意味があるんだよ───と。



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