踏み込んだなら、最後。




「もう2度と…、僕はこの牢獄から出られない」


「……どう…、して…」



だから近づくなと言ったはずだろう。
踏み込んではいけない領域だと。

安易に関わったらダメなんだと。


こうなるからダメなんだよ、游黒街は。


───だれかの声が、聞こえた気がした。



「なんにもっ、結局なんにもできなかったじゃねえかよ……ッ!!!」



こんなにも取り乱して。
こんなにも誰かを責めて、自分を責めて。

どうしようもない気持ちに八つ当たって、変えられない現実を殴る。


でも、最後は。


シロちゃんが嘆くように吐き捨てた消えそうな言葉は、こんなものだった。




「僕だけに繋がりがないことが────……くやしい」




彼のポケットからヒラリと落ちた、1枚。


どうして君がこの写真を持っているの。

これは私が持っていないとおかしいものだよ。


なにがあったの、シロちゃん。


あなたは何を目的として、だれのために自分を殺してここまでしていたの。



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