踏み込んだなら、最後。




「単刀直入に言うわ。────ワカツキは、あたしがシロウに会う約1ヶ月前に……亡くなったの」


「……………え……?」


「もう、いないのよ。彼は死んでいるの」



冗談はやめろ。
つまんねーよ、そんなの。

死んでる……?


ばか言うなよ、だったらずっとあんたは僕を騙していたのか。



「……その1ヶ月前は……、生きてた…?」


「…ええ。生きていたわ」



なんだよ、それ。
僕が悪いみたいじゃないか。


僕が遅かったから、だから会えなかったって。

もう少し早ければよかったけれど、僕が遅かったからダメだったって。


まだ半信半疑だし、そんなこと信じてもない。


気が狂いそうな冗談を前に、僕は彼女の法螺(ほら)話に付き合ってあげるような気持ちで会話をつづけた。



「あたしはこの街で生まれて、16歳のときに───」


「あんたの話なんかどうだっていいんだよ!!!」


「聞きなさい!!これがぜんぶに関係してくるのよッ!!」



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