踏み込んだなら、最後。
「だからあたしは、ここに迷い込むあなたのような子供を追い返す役割をしていたの。
……でもシロウは聞かなかったじゃない」
叱るにしては、やっぱりぎこちない。
母親に慣れていないから、なりきれていないから、彼女は分からなかったんだ。
「…僕をこのマンションに匿ってくれたのって、」
「そうじゃなかったらあなたは3日で殺されていたわ」
「っ…!!」
「初めて会ったのがあたしであなたは幸運だった。もし違う上層部にワカツキの顔写真を見られていたら……今ここにシロウはいない。それほどワカツキは…、すこし特別な男なの」
不可解なことばかりだった。
僕は探すエリアを区切られていた、この女に。
ワカツキはこのエリアにいる、それ以外はいないと、ヒントのようなものをくれていたけれど。
まったく手がかりすら見つからなかったんだよ。
ましてや写真を見た人間全員が「見たこともないし聞いたこともない」と、口を揃えて言うんだ。