踏み込んだなら、最後。




どこか寂しくて、なかなか背中を向けることができない。


汐華さんとは学校でも会えるし、ひまわり園はいつでも大歓迎だと言ってくれた。

ご飯だけ食べに来るとか、そういうのもアリだと。



「汐華さん、また連絡するよ」


「…うん。気をつけてね」



やっぱ元気ないな。

決してそれは俺との別れに惜しんでいるのではなく、数日前からこんな様子だった。


俺が聞いても逸らすばかりで、「なんでもないよ」が口癖。


気になりつつも、俺は少ない荷物を持ってひまわり園を出た。



「真澄おにーちゃんまたねーーーっ!!」


「また一緒に遊ぼうねーー!明日でもいいよーーーっ!!」


「1時間後でいいよーーっ」



俺はかなり変わった。

もちろん良い方向に。


ひまわり園は更生施設というわけではないけれど、似たようなものがあると思う。

協調性や優しさが育まれる。



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