踏み込んだなら、最後。
俺が関わっていた0という組織と完全なる決別ができているわけではなかったが、もうずっと連絡も来ていない。
このまま自然消滅するだろうと、過去にもそんな事例があったため、とりあえずはホッとしていた。
「千石さん…!」
そのとき、すぐに俺に追いついてきた中学生。
陸上部で足が速いことは知っていたけど、ものの数秒単位に感じて驚いた。
すでにひまわり園が見えなくなっていたところで、俺の足取りを止めてきた海未ちゃん。
「あの、…家族、なので」
「…え?」
「住んでるところが変わったとしても…、…これからも家族には変わりない…ので」
てっきり忘れ物を届けに来てくれたとか、そーいうのだと思っていたのに。
意外にもこの子と俺は話す機会が多かった。
汐華さんが手を回したときと、そうじゃないとき。
バイト終わりの俺と部活終わりの海未ちゃんで、肩を並べて帰宅したこともしばしば。