踏み込んだなら、最後。




「…ははっ」


「え、…どうして笑うんですか」


「いや、わざわざそれだけを伝えに来てくたのかって」


「あ……、はい…、すみません、なんか」


「……うれしーよ。ありがとう」



いい場所だった、いい人たちだった。

俺には温かすぎると思うほど、光で包まれていた。



「今度、陸上の大会とか観に行ってもいい?」


「…もちろんです。とくに大きな大会だとひまわり園のみんなが応援に来てくれたりもするので」


「……じゃあ小さな大会に行くよ」


「…………どうぞ」



どうぞ、って。

そんな返事も面白くて、俺はまた笑ってしまった。


汐華 由季葉とは、事実上別れた。


別れたというか、彼女も言っていたように何かが違ったんだ。

俺たちはそういうものじゃないって、やっと分かったのは最近。


俺は汐華 由季葉に、家族とか母親というものを求めていた。



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