踏み込んだなら、最後。
愛縁機縁
士郎side
『シロにーちゃんお願い帰ってきて!!』
誰なんだと思った。
公衆電話からかかってきた番号を受け取ってみれば、息を荒くさせて音が割れるほど必死に伝えてくる声。
しばらく会っていないだけで兄弟たちの声を忘れるほど、僕の記憶力は腐っていないはずが。
「……海未…?」
『そーだよ海未…!』
「なんで公衆電話?スマホは?」
『充電切れてっ、いま外をずっと探し回ってて…!ユキねーちゃんが帰ってこなくて千石さんにも連絡が繋がらなくて……っ、ひまわり園が大変なことになってる!!』
「っ…!」
時刻は21時を回っていた。
僕のそばにちょうど彼女もいて、スピーカーにしていなくとも聞こえたらしい。
千石さん───、
その名前を聞いた瞬間、女の瞳が確かに揺れた。
「すぐに行く」
嫌な予感がする、と。
なんだか分からないけど胸騒ぎが止まらない、と。
海未があそこまで感情的に言ってくることは初めてだし、ひまわり園も大混乱している状況が電話越しの説明からも伝わった。
『シロにーちゃんお願い帰ってきて!!』
誰なんだと思った。
公衆電話からかかってきた番号を受け取ってみれば、息を荒くさせて音が割れるほど必死に伝えてくる声。
しばらく会っていないだけで兄弟たちの声を忘れるほど、僕の記憶力は腐っていないはずが。
「……海未…?」
『そーだよ海未…!』
「なんで公衆電話?スマホは?」
『充電切れてっ、いま外をずっと探し回ってて…!ユキねーちゃんが帰ってこなくて千石さんにも連絡が繋がらなくて……っ、ひまわり園が大変なことになってる!!』
「っ…!」
時刻は21時を回っていた。
僕のそばにちょうど彼女もいて、スピーカーにしていなくとも聞こえたらしい。
千石さん───、
その名前を聞いた瞬間、女の瞳が確かに揺れた。
「すぐに行く」
嫌な予感がする、と。
なんだか分からないけど胸騒ぎが止まらない、と。
海未があそこまで感情的に言ってくることは初めてだし、ひまわり園も大混乱している状況が電話越しの説明からも伝わった。