踏み込んだなら、最後。
「シロウ、あたしも行くわ。車を出せるのはあたししか居ないでしょう」
「……わかった」
生活に気まずさはなかった。
責任を持って彼らを守ると断言したくらいの女性なのだから、真実を話したところで対応が変わってくれたらそれこそ困る。
僕たちは今までどおり奇妙な同居をつづけていた。
「絃姉!!」
「シロ…?」
実家に帰るように、僕はひまわり園に遠慮なく上がった。
そこには久しぶりに顔を合わせる絃姉もいて、けれど今はしばらくぶりの再会に感動している時間などない。
彼女の表情からも焦りのようなものが見えた。
「いつから連絡取れないの?」
「朝は普通に学校に行って、いつもどおりだったらしいけど…。その千石くん?っていう子にも繋がらないみたいで、おなじタイミングっておかしいでしょ」